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商法改正情報
法定準備金の積立額
これまで利益準備金は、資本の四分の一に達するまで積み立てることを強制されていましたが、平成13年の商法改正後は資本準備金と利益準備金の合計額が資本の四分の一に達するまで積み立てられれば良いこととなりました。つまり、資本準備金が資本の四分の一に達していれば、利益準備金は積み立てなくても良いことになったのです。また、資本の四分の一を超える部分は、株主総会の決議及び平成14年の商法改正による債権者保護手続を経た上で取り崩すことが可能になったため、資本欠損の補填だけでなく自社株取得の財源等にも活用できることになりました。
額面株式の廃止
平成13年の商法改正で、これまで慣れ親しんだ額面株式が廃止され、すべてが無額面株式で統一されることになり、当然、株券に「金五萬円」などといった券面額を記載することは意味を有しなくなりました。
また、これまで株式分割を行うときは1株当たりの純資産が5万円以上なければならないという純資産額規制がありましたが、これも撤廃され、会社が出資単位を自由に決めることができるようになりました。更には会社設立時の株式発行価額も5万円である必要がなくなりました。
これまでは、純資産額規制のため、株式分割の方法をとることが出来ずに1円での株主割当増資や無額面株式を発行しての増資で、創業者の持株比率を調整するケースが多々見られましたが、これからは純資産額規制の撤廃及び額面株式の廃止により自由に資本政策を組み立てることが可能となりました。
なお、発行済みの額面式株券については、代わりに新たな株券を発行するべきですが、現在流通している株券のままでも当該株券記載の券面額が意味を有しなくなるだけで、そのまま流通させていても無効ということにはなりません。
株式分割の簡易化
1株当たりの純資産が5万円を下回ってはならないという純資産額規制が撤廃され、券面額も意味を有しなくなりましたことから、会社が株式の大きさを自由に決めることができるようになったため、株式分割を取締役会の決議で自由に行うことが可能となりました。高い株価でファイナンスを行ったベンチャー企業や発行株数を増やしたい企業、また創業者の持株比率を維持するため株式分割後に外部資本を導入するなど、資本政策の上で色々な活用方法が取れることになりました。
単元株制度
これまでの単位株制度が廃止され、平成13年の商法改正により新に単元株制度が創設されました。純資産額規制の撤廃及び額面株式の廃止により、株式の大きさが自由になりましたが、他方、あまり株式を細分化すると多数の株主を管理するため多くのコストが掛かることになります。そこで、株式管理コストを節減するため、一定の数の株式を一単元の株式として定款で定め、一単元に一個の議決権を与えるものとしたのが、単元株制度です。
但し、一単元の株式数は1000株及び発行済株式総数の200分の1に相当する数を超えることは出来ません。小口株主が多数存在する会社では、この単元株制度を導入することで、議決権を単元株以上保有する株主に限定できるため、株主総会の運営コストを節減できることも可能になります。
種類株式の導入
これまでも、優先株や無議決権株式など数種の株式を発行することは可能でしたが、平成13年の商法改正で、議決権制限株式等の様々な種類の株式が発行できるようになりました。
特に、議決権制限株式という種類株式が認められて、利益配当がなくても議決権が復活しないこととする株式を発行することができるようになりました。改正前の無議決権株式は、利益配当の優先権のある株式であり、無配の場合には、議決権が復活することになっていました。しかし、今回の商法改正では、利益配当がなくても議決権が復活しない株式を発行することも可能となっています。これにより、経営権の安定化を図りながら増資による資金調達を行うことも可能となりました。
但し、議決権制限株式は、発行済株式総数の2分の1を超えることができないとの制限が課されています。
株主総会の招集
株主総会の特別決議の定足数については、従前、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席すると規定されており、普通決議の場合とは異なり、定款による定足数の緩和は認められていませんでした。しかし、平成14年の商法改正により定款でこの定足数を総株主の議決権の3分の1まで切り下げることが可能となりました。また、株主総会の招集手続についても一部簡素化が図られ、これまで会日の2週間前までに通知をすることを要するとされていましたが、株式譲渡制限会社では定款でこの期間を1週間にまで短縮できることが出来るようになりました。更に、議決権を行使することができる全ての株主の同意があれば、招集手続を経ずに株主総会を開催することも出来ることになりました。
授権株式数の制限の撤廃と増資決議の有効期限延長
平成13年の商法改正で、株式の譲渡制限がある会社は、会社が発行する株式の総数、つまり授権枠を発行済み株式総数の4倍を超えても定めることが出来るようになりました。
これまでは、授権株式数の制限があるため、増資と増資との間に授権枠拡大のための株主総会の決議を行うなどして対応していましたが、これからは授権株式数の制限が撤廃されたことから、機動的に資金調達の為の増資を行うことが出来るようになりました。但し、従来同様、株主以外の第三者に対して、新株を発行する場合は、株主総会の特別決議が必要です。
また、有利発行の増資決議も、これまでは特別決議の日から六ヶ月以内に払い込まれる最初の新株発行に限られていましたが、特別決議の有効期間を1年以内、しかも数度にわたる増資でも有効と改正されました。これにより、株主総会の特別決議で授権された範囲内であれば、特別決議後1年以内の有効期間内である限り、取締役会の決議だけで機動的に増資を行うことが可能となりました。今までは、毎月のように臨時株主総会を開催して増資の決議を行っていたベンチャー企業も見うけられましたが、その繁忙さはこの改正で軽減されると思われます。
役員の責任軽減
平成5年の商法改正により、株主代表訴訟の提起が容易になりましたことから、役員個人が数億円単位の損害賠償責任を負う可能性が現実のものとなりました。過大な責任追及は役員の経営判断としての意思決定を萎縮させたり、役員就任を敬遠させたりする動きとなりましたことから、平成13年の商法改正により、一定の要件を満たした場合は、役員の賠償責任を軽減できることになりました。これには、(1)対象となる事案に対し、事後的に株主総会の特別決議を経て軽減する、(2)株主総会の特別決議によって、事前に役員責任軽減の条項を定款に定めておき、取締役会の決議で責任を軽減させる、(3)社外取締役については、定款で定められた軽減の範囲内で制限された責任を負う旨の契約を会社と社外取締役との間で締結することを定款で定める、という三つの方法があります。
しかし、いずれの場合も取締役が職務を行うにつき、善意にして重大な過失がないことが要件とされています。また、軽減の範囲は、損害賠償を負うべき額から代表取締役につき報酬等の6年分、常勤取締役は4年分、社外取締役は2年分を控除した額を限度とすることとなっています。つまり、代表取締役は報酬等の6年分、常勤取締役は4年分、社外取締役は2年分の責任をそれぞれ少なくとも負うということです。ここで言う報酬額は、その算定にあたって役員報酬だけでなく退職金やストック・オプションで得た利益も含まれます。
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