ISO9000 特に建設業を中心に
建設業とISO9000目次
- ①ISO9000は品質マネジメントが評価される
- ②ISO9000はプロセス全体が評価される
- ③ISO9000は請負工事業に適した規格である
- ④ISO9000:2000のファミリー規格の構成
- ⑤他のマネジメントシステムとの関係
- ⑥2000年版ISO9001は1994年版から発展している
- 審査登録の流れ
- 品質システム審査登録制度の仕組み
- 建設業界とISO
- ISO相談窓口
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①ISO9000は品質マネジメントが評価される
ISO9000は個々の製品に対して保証するものではなく、その製品の生産過程において品質マネジメントシステムが機能しているかどうかが審査対象となります。
建設業の場合、建設物そのものが審査されるのではなく、建設物を作り出すプロセスが管理されているかどうかが審査されるのです。
営業プロセス、設計プロセス、施工プロセス、アフターメンテナンスなど、各プロセスが、ISO9000の規格要求事項に合わせて規定されたように管理されているかが審査のポイントとなります。
②ISO9000はプロセス全体が評価される
建設業で建設物を顧客に提供するプロセスは、先に挙げたように営業プロセス、設計プロセス、施工プロセス、アフターメンテナンスのキープロセスがあります。
それらのプロセスは、さらに細分化されたサブプロセスで構成されています。
これらのプロセスは連鎖されていて、その内1つのプロセスのアウトプットの欠陥が、最終的に提供する建設物の欠陥を生み出しているかもしれません。
このような背景から、ISO9001の2000年版では、それぞれのプロセスの相互関係を含めたプロセス全体がシステム審査され、望ましい結果を達成しているかどうかに焦点が移っています。
③ISO9000は請負工事業に適した規格である
建設業は請負工事業です。建設工事発注者(顧客)は、まだ何も存在しない建設物において、建設会社が確実な施工のもとに完成することを約束することで請負契約をします。したがって顧客は、本当にきちんと品質を守って、確実に建設物を完成してくれる企業かどうかを検討しながら発注します。
顧客にとってISO9000は、建設会社に品質管理の仕組みが整っているかを確認する判断基準として、大きなポイントとなります。全てが一品生産で、顧客の要求事項によって完成品が様々な請負工事業において、ISOは建設物が完成するまでのプロセスについて、品質管理が適切に行われることを保証するシステム規格です。
その為、建設業者にとっては、ISOの認証取得をしていることが、顧客に対しての強いアピールとなるのです。
これからISO認証取得の建設会社がますます増えてくると、取得していない企業が不利になるのは避けられないことでしょう。すでに公共事業などランク付けにおける主観点数加点など徐々に要求度は高まってきており、工事や発注元によってはISO認証取得が入札参加の必須要件になってきております。
④ISO9000:2000のファミリー規格の構成
ISO9001規格は1987年に制定され、5年を目安に規格を見直していくことになっています。第1回目の改正が1994年に行われ、2000年改正は第2回目の改正です。
- 1994年版のISO9001、ISO9002、ISO9003は全て廃止され、ISO9001の2000年版に統一されます。今まで設計業務がなくて9002で登録していた企業は、適用の除外によってISO9001となります。従来設計業務がありながら、ISO9002で登録していた企業は、設計業務に該当する要求事項の実施を求められます。
- 「ISO8402(用語と定義)」は廃止となり、ISO9000:2000で扱われます。 「ISO9000・1:1994(品質管理及び品質保証の規格・選択及び使用の指針)」については、別に発行される小冊子で扱われます。
- ISO9001とISO9004(品質マネジメントシステム・パフォーマンス改善の指針)の関係は、一貫した一対の品質マネジメントシステム規格です。ISO9004はISO9001を実施するためのガイドラインではなく単独で利用でき、組織の全体的なパフォーマンスの改善をするために、品質マネジメントシステムのより広い範囲をカバーする手引きとなっています。
- 品質の監査規格(ISO10011シリーズ)と環境の監査規格(ISO14011シリーズ)を廃止し、ISO19011に統合監査規格として統合されます。
ISO9000(品質マネジメントシステム・基本及び用語)
- ISO9001(品質マネジメントシステム・要求事項)
- ISO9004(品質マネジメントシステム・パフォーマンス改善の指針)
- ISO19011(マネジメントシステムの監査の指針、2002年発行予定)
⑤他のマネジメントシステムとの関係
ISO9000シリーズは、既に制定済みのISO14001シリーズ(環境規格)と両立するように構成されています。
今回の改定では、ISO14001と順序や言葉の整合性への配慮がなされました。また、品質マネジメントシステムが関連するマネジメントシステムの要求事項と組み合わせたり、統合できるようになっています。
他のマネジメントの例として、環境マネジメント、労働安全衛生マネジメント、財務マネジメント、リスクマネジメントなどが挙げられます。これらのものは、目標管理、文書・記録の管理、教育訓練、是正処置など共通する部分を持っており、統合したマネジメントシステムとして構築できます。 品質と環境の複合審査を受けている企業もあり、共通部分を重複して審査しないことで、コストや時間の負担の軽減にもなっています。 組織の既存のマネジメントシステムを適用することも可能で、品質マネジメントシステムにコストマネジメントを統合することもできます。
⑥2000年版ISO9001は1994年版から発展している
ISO9000s:1994は品質保証の規格でしたが、ISO9001:2000は「製品の品質保証に加えて、顧客満足の向上をも目指している」となっています。
2000年版は、1994年版に以下の項目が加えられたことが大きな変更点です。
- 品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善
- プロセスアプローチによるプロセスレベルの継続的改善
- 顧客満足の向上2000年版には、1994年版から削除された部分があります。
ですが、削除された多くのものについては、それがなくなったのではなく、汎用性をもたせるために詳細に記載しなくなったと考えたほうがよいでしょう。
より重要なマネジメントシステムを機能させるために、経営的な部分が強化され、製造業向きの細かな規定がなくなったと考えましょう。
注意点としては、規格要求事項の量が増えたと考えるだけでは、マネジメントシステムとして機能しないということです。
規格要求事項の質も変化し、マネジメントシステムとして成熟したととらえることが重要です。
ISO9001の2000年改訂版では、「顧客満足」「継続的改善」「プロセスアプローチ」の3つのキーワードがあります。
①顧客満足
企業は顧客から発注されなくなったら、企業をやめなければなりません。
しかし、多くの企業が自分たちの論理で仕事を行い、顧客の声を聞かずにいます。「顧客が選択したいといっても、現場の管理が大変だ」「顧客が言ってきたらやればいい」「うるさい顧客だけ対応しよう」等、企業側の論理で話をしていませんか?
顧客の声を末端の担当者しか聞かず、企業全体に行き渡らなかったりしていませんか?顧客の信頼を得られない企業は、長期的に見れば顧客から見放されてしまいます。
経営者を初め、全ての社員が顧客志向の考え方をもつことが必要です。
ISO9001の2000年版は、このような背景から、顧客志向が強化されたシステム規格となっています。
②継続的改善
顧客満足を向上させるために継続的な改善を目指さない企業は、競争社会では他の競合企業に打ち負かされてしまいます。ISO9001の2000年版はマネジメントシステムとなり、システムを改善し、その結果である業務や、業務の成果である建設物も改善され、企業としての経営的な効果が期待できます。
ISO9001:2000が求める継続的改善に関する事項について少し解説します。
(1)品質方針・品質目標の達成によるレベルアップ
ISO9001:2000は、継続的改善について企業トップのマネジメントの責任と権限を明確にしています。トップが品質方針を定め、品質目標の設定を確実にし、品質計画を明確にする。品質方針は目標の枠組みとなり、目標は測定可能なもので、関係する部門へ展開される。
さらに目標が達成されるように、経営資源を明確にし、品質計画を作成する。 このようにトップが適切な課題を設定することで、組織の努力の成果があらわれます。企業の継続的改善において、トップマネジメントは重要です。
(2)P→D→C→Aによる継続的改善
1994年版では、計画されたことが実施され、それが記録で証明できれば適合とされました。計画と実施に差異があった場合はその対処は求められ、対処した記録があれば適合となりました。
しかし、それは差異への対処で、必ずしも差異の再発防止ではありません。 2000年版では、評価し、差異への対処も必要である一方、次回への計画へ反映させ、プロセスをより有効なものに改善することが重要になっています。
1994年版が計画(Plan)と実施(Do)の比較が主だったのに対して、2000年版では計画(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→処置(Action)をきちんと回し、継続的改善を図ることが重要であるといえます。
③プロセスアプローチ
ISO9001:2000では、プロセス毎の最適化ではなく、プロセス全体の最適化を目指します。これまでの組織は、営業部門、工事部門、アフター部門といった部門に分かれていて、無駄な業務や情報が生かされないという状況が生じていました。
そこで、部門という境界を越えることで、プロセスの流れで業務を構築し、情報を共有化し、プロセス全体を最適化します。
(1)プロセスから業務を決める
「営業の業務」+「設計の業務」+「工事の業務」という業務を積み重ねるのでは、最適なプロセスは得られません。 最適なプロセスから業務が決められて、役割として割り当てられる。
つまり、達成する目標からプロセスは決定され、業務が決まるということです。 例えば、営業担当者がこれは工事の仕事だから知らないとか、工事担当者がこれは営業の仕事で関係ないといったことがないようにします。
(2)プロセス同士の引継ぎを確実にする
ISO9000(品質マネジメントシステム・基本と用語)のプロセスの定義は次のようになっています。
「インプットをアウトプットに変換する、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動。 プロセスのインプットは、通常、他のプロセスからのアウトプットである。」 例えば、営業プロセスではインプットは主に顧客要求事項であり、アウトプットは、顧客要求事項を明確にして合意された契約です。
つまり営業プロセスは、営業担当者が、顧客の暗黙のニーズを含めて顧客要求事項を明確にし、契約書にまとめ工事へ引き継ぐというプロセスです。 このことから言えるのは、営業プロセスのアウトプットはは施工プロセスのインプットとなる、ということです。 営業担当者はは確実なアウトプットを、責任を持って施工プロセスに引き継がなければならないという自覚が必要です。 プロセスとプロセスの引継ぎが確実になされないと、そこでプロセスのチェーンが切れて、トラブルに発展しかねません。プロセスとプロセス間の引継ぎは、重要な管理ポイントといえるでしょう。
(3)プロセスネットワークの最適化
これからIT化が進んでくると予想されますが、機能別部門の業務を電子化しただけではIT化のメリットは少ないでしょう。 機能別部門の電子化では、プロセスの中で手段として有効に活用できるとは考えにくいからです。そこで、IT化する上でも、機能別部門に電子化するのではなく、プロセスを電子化することが重要です。
審査登録の流れ
各社でISO審査登録機関への申請を行い、審査登録機関では担当者を決定します。
品質マネジメントシステムの文章化の段階で、書類審査があります。
書類審査で品質マネジメントの構築状況が適切であると認められると、文書化を進め、品質マネジメントシステムの試行スタートとなります。
品質マネジメントシステムの実施状況を審査するのが本審査です。品質マニュアル・規定と実際の業務の適合性を審査します。
一般的には本審査の前に予備審査を1回〜2回受けて、本審査で重不適合がでないようにしているようです。
本審査で重不適合がなく、軽微な不適合のみであれば、指摘事項是正計画書を作成し、審査登録機関へ提出します。そこに書かれた是正計画が実行されているかが、次回の定期審査で審査されます。
審査登録機関の判定委員会では、審査員の推薦及び指摘事項是正計画書を受けて判定会議が開かれ、合格となれば登録書を交付します。
これにより、認定機関((財)日本適合性認定協会・JAB)に登録され、ISO認証取得となります。
品質システム審査登録制度の仕組み
認定機関は各国1機関で、日本ではJABです。その下に、JABから認定された審査登録機関、審査員研修機関がたくさんあります。
審査員研修機関はISOの審査員を養成する研修機関です。 審査登録機関は、各企業がISO規格要求事項を満たしているか審査する機関です。審査機関に合格と認められると、JABで登録・公表となります。 海外でも同じような制度となっていて、お互いが審査結果を認め合い、相互に承認を行うことで資格が海外でも有効になります。
しかし、今の段階では各国認証機関で評価基準がまだ統一できていません。少しずつ進んでいるといった状態です。
建設業界とISO
建設業界が取り組むISO9001
建設業界がISOに注目したきっかけは、1995年の「建設産業政策大綱」にあります。ユーザーに「良いものを安く」提供することが目標の一つに掲げられました。
「安く」については、一般競争入札制度の導入、入札結果の発表、予定価格の公表、ロアーリミット(最低入札価格)の廃止といった政策がとられてきました。
一方、「良いもの」については、専任技術者制度がありましたが、土木品質管理士や品質保証制度などは立ち消えとなり、品質を確保するための他の制度としてISO9001が残りました。
ISO9001は今、品質を確保するための柱となりつつあります。
国土交通省直轄工事では、2000年からISO取得を入札条件とする試行工事がスタートされたほか、県レベル、地方自治体レベルでも主観点数にプラス点を加えたり、入札条件とし始めたところが出てきています。入札制度として、これからも拡大していくことが予想されます。
中小建設業で活発化
「建設産業政策大綱」の中では、「品質確保のための体制作り」が不可欠となっていて、「ISO9000sなどの国際規格に積極的に取り組んでいくことが必要である」と記載されています。これは、品質確保の体制作りができている大手、中堅企業ではなく、中小建設業に品質確保の体制作りを行って欲しいということで、その為の手段としてISO9001への取り組みを示唆しています。
ISO9001導入のメリット
| (1)経営システムとしての活動 | ||
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| (2)民間工事での差異化 | ||
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| (3)業務改善と標準化 | ||
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| (4)自社の品質管理体制の見直し | ||
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| (5)若手技術者の育成 | ||
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| (6)信頼性の確保に対する要求 | ||
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ISO相談窓口開設
起業法務センターでは審査員資格保持者が中心となり、山形県内陸部の企業様を対象としたISO相談窓口を開設いたしました。
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